2009-01-01から1年間の記事一覧

2009年の終わりに

東京は、年末年始になると、交通量が減るせいか空気がクリアになる。夜、近所の道を歩きながら空を見上げたら、満月寸前の月(元旦が満月なのですね!)が見事に見え、オリオン座も綺麗に堂々と、空の真ん中に君臨していた。 文化芸術をやっていると、時にふ…

年末恒例の煩悶

今年も早川書房の演劇専門誌『悲劇喜劇』から、「2009年演劇界の収穫」というのを掲載したいので回答してください、というのが送られてきた。(要するに、今年よかった舞台や戯曲を書くものだ。) これ、いつも悩むのだけど、わたしの場合、仕事として毎日の…

イタリアには神曲、日本には原爆という題材がある

昨日世田谷パブリックシアターで観たカステルッチの『神曲 煉獄篇』は素晴らしかった。トラウマを与えた者と与えられた者双方の救済、というようなテーマかと思うが、芸術は必然的に、ほとんど全部がそこに行き着くのだという確信を深める。テクスト系の舞台…

図形認知できない病

T島屋タイムズスクエア地下の「華正楼」のチャイニーズ菓子がすっかり癖になってしまった目黒です。椰子なんとかスーという、ココナッツとパイが層になったのが一番気に入っています。 自分の方向音痴があまりにも重症なので、「軽い脳障害ではないか」と前…

HIBIKIのDVD

昨日の山海塾の公演(『UNETSU』)は素晴らしく、客席のオヴェーションもとても熱狂的でした。しかし、お薦めと言っても公演が本日までですし、私の万感はここで即時的に言葉にならない感じなので、本欄ではとり急ぎDVDの話題を。 終演後、音楽の吉川さんか…

コーヒー

今日はこれから山海塾のUNETSUを見に行くのだけど、出掛けにバタバタっと、フレーバーコーヒーの備忘録を。 マリリン・マンソンがアブサンに凝っているなんていうのは、たぶんボードレールとかの真似で、ちょっと危険な嗜好品はデカダンスの小道具だ、という…

サンクスギビングと地蔵

サンクスギビングデイは、農作物の作り方を教えてくれて飢え死にから救ってくれたり、動物を取ってきてプレゼントしてくれたりしたネイティブアメリカンよありがとう、という日ですが、人間にとって「食べものもらったことへの感謝」というのは非常に大きい…

オフライン日記

次の週末のローザス拝見までは、基本的に自己座敷牢幽閉状態でお仕事頑張りましょうという体勢の今なのですが、恐ろしいことに気づきました。本欄のようなときどきしか書かないジャーナルのほかに、わたしはオフラインで自分だけの日記も書いているのだけど…

複合感情の発露

英国人女性殺しの容疑者が逮捕されたニュースを見て思ったこと。以前、オリハラとかなんとかいう犯人が起こした類似の犯罪(日本人男性による白人女性殺し)があったが、顔つきが共通して「暗そう、自尊心(というか単に自意識?)強そう」という感じだ。そ…

朗読会

11月14日(土)14時より、駒場の近代文学館ホールで、鈴木道彦さん、岩田宏、齋藤恵美子さん(身内のみ敬称略)による自作朗読の会(第59回聲のライブラリー)が行われます。http://www.bungakukan.or.jp/annai/annai.htm こと岩田宏に関しては、朗読という…

叙情と闘争

刊行されてすぐ入手するも、しばらく積んどいてしまった『叙情と闘争――辻井喬・堤清二回顧録』を一気読み。わたしはこの本の話をしようとして、タイトルを忘れ「えーと、’ロマン主義と経営’じゃなくて…」と思わず言ってしまったのだが、辻井さん(文学者)サ…

寒い夜に一口だけ食べる「偽グラタン」

ひとつ前の記事に続き、これも軽いホワイトシリーズですが、ベシャメル蒸しパンより更に簡単、どうやっても絶対に失敗しない、子供でもできるというもの。パンと牛乳で作る「ホワイトソースもどき食感」です。熱々のグラタンぽいものを一口だけ食べたい深夜…

ベシャメル味の、蒸さない蒸しパン

濃厚ベシャメルソースを塗りたくって作ったようなクロックムッシュの味が急に恋しくなってしまった。でも、たっぷりのバターやチーズで高カロリーを摂取したくはない!と思った。そこで、クロックムッシュとは似ても似つかぬ物だけれど「電子レンジで作る、…

深い声

文化というのは、貯蔵庫の中に眠っているものではなくて、生きている人の態度や立ち居振る舞い、話す言葉の中にあるのだ、と急に実感。 そう思ったのは、「江戸風」な感じで腹式呼吸で喋る、多少年配の方に出会ったからだ。お腹の底からよく響く、しかも、ち…

アニエスの浜辺に関するエッセー

明日から岩波ホールで公開されるアニエス・ヴァルダ監督『アニエスの浜辺』のパンフレットに拙文をご掲載いただいています。ご鑑賞の際には是非読んでみてください。 東京はようやく真正な秋晴れとなり、なんだか「文化祭気候」という感じ…。この週末、映画…

ナッティ・コーヒー

温かい飲み物が嬉しい季節になってきました。しかし、コーヒーアディクションのわたしは、単にその中毒を深めるだけになりがちなので注意が必要。また、それをマイルドにしようとして、カフェの、結構カロリーのある甘い飲み物に淫する、とかいう結果にも陥…

焦げ味

食べ物の表面にお砂糖がまぶしてあると、それは子供向けのおやつとなる。いっぽう大人は、料理の表面に焦げ目がついていたりすると、喜ぶ。(レストランだとガスバーナーでお肉の表面に焦げ目をつけたりする。和食だと「炙り」の魚とか?)「焦げ味」という…

世界一簡単なデザート

月末で仕事に追い詰められていようとも、デザートは食べる! というわけで「デセール・ショー・フロア・ドートン」(秋の温冷デザート)と題した一品を作ってみました。…といってもコンビ二で売っていた石焼き芋を刻んで、アイスクリームをかけただけ。美味…

河童と降霊術

うちから歩いて一分、走って数秒の距離にそう小さくない病院(入院できるような規模の)がある話は、以前書いたかもしれない。 そのせいで、ということかどうか分からないが、周辺に「お化けが出る場所」がけっこうあるらしい、という情報を近所のお店で入手…

中国の不思議な役人

パルコ劇場にて『中国の不思議な役人』を拝見。寺山修司作品を白井晃さんが演出、出演はなんと平幹二朗さん!はじめ豪華キャスト、視覚的にも豪華絢爛なプロダクション。演出もムーブメントも素晴らしく…そして嬉しいことに装置は、あの小竹信節さん(〜拙訳…

簡単そうなものほど

英語で苦手なものシリーズのひとつに「動植物の名前」というのがある。英語で苦手というか、実は日本語でも同じことだったりして…単純に「自然科学に弱いだけ」と言う方が正確かもしれない! 英語に関して、昔は、ビッグワードを覚えるのが難しいんだと思っ…

まぶらかし視、してきました

森村泰昌さんの「魔舞裸華視」(まぶらかし)展を、新宿三井ビル一階のエプソンイメージングギャラリーにて拝見! エキシビジョン・タイトルは、「まぶす」「まぜこぜにする」といった意味を持つ、森村先生造語だそうです。私の中で今、「外側から見た日本」…

秋の…

秋の「千客万来・生産力アップ大キャンペーン」実施中! 要するに最近ワーカホリックに磨きをかけ、ますますの増産体勢で励んでおります、ということです。 先週、仕事上どうしても確認しておきたいDVDがあって、ついに某大手レンタルビデオ屋に再入会した(…

老いとか若さとか

このひとつ前、ふたつ前の記事にゆるやかに関連していますが――最近、日本でも、人々がアンチエイジングだとか異様に言い立てるようになったけれど、それはアメリカから来た文化だと思う。ヨーロッパ人は、アメリカ人ほど若さに取り憑かれていないような気が…

BDD

うちの横の家屋取り壊しの騒音が、蓋をあけてみたら思ったほどではなく、拍子抜けしている目黒です。目には目をで、こっちもデスメタルガンガン流しっぱなしの家にしよう、などと夢想していたのに、そんな感じには全然ならず残念。(というか仕事ができてあ…

アニエスの浜辺

芝居や映画や本について、面白かったからといってブログに感想文など書くと、「劇評」「映画評」「書評」などと言われてしまう場合があるので、ちょっと前に「もう感想文は書くまい」と決めたはずだった。(わたしは評論家ではないので評論なんかしないし、…

希望の光?

わたしは『世界人類…』でも『カルト…』『免罪…』でも、一貫して「戦後民主主義の崩壊」「イデオロギーに翻弄される人々」について書いてきた。(それだけだと広く大衆に関心を持ってもらえないので、性という要素を多少入れているけれども、個人的には別に性…

で実況中継ですが――今日はいきなり、イラストレーターの方の作品(のラフ)をメールで見せていただいて、どっと感動しています。これは長編小説の方とは微妙に違う部分の仕事なのだけど、とにかく自分の文章を絵画化していただくということは、光栄そして感…

選挙運動のストラテジー

このブログは基本的には政治的なことは書かない方針(特に国内のことは)にしていますが、選挙運動の中で、ちょっと学ぶところがあると思ったことを書くと――うちのそばの道を、アナウンスの音量もガンガンな某候補者が通ったあとで、コンペティターの別の候…