複合感情の発露

英国人女性殺しの容疑者が逮捕されたニュースを見て思ったこと。以前、オリハラとかなんとかいう犯人が起こした類似の犯罪(日本人男性による白人女性殺し)があったが、顔つきが共通して「暗そう、自尊心(というか単に自意識?)強そう」という感じだ。そしてどっちもある程度の英語学習者であったような報道がされている(詳細は知らない)。古くは佐川人肉食事件とかいうのもあり、それも同じカテゴリーの事件かと思うが、白人女性に対する深いコンプレックス〜字義どおりの「複合感情」すなわち強い憧れと強い憎しみ〜が原因だろうと推測される。男性語学学習者の中に、ごく稀に彼らにそっくりなご面相の人間が含まれていることは事実で、わたしもそういう人を一度も見たことがないわけではない気がする(しかし、誤解を避けるために言っておきますが、男性語学学習者は普通、真面目なちゃんとしたした人ばかりです。そんな変質者の含有率は0コンマ以下だと思う)。西洋だの白人社会だのへの複合感情という点では、まさしく日本が西洋に対して抱いている複合感情を凝縮したようなシンボリックな感じだが、その感情を、「性犯罪を最悪の形にしたような殺人事件」にまで膨れ上がらせるのはいくらなんでも変質者すぎるし犯罪者すぎる、というもので、本当に恐ろしいことだと思う。また、さらに恐ろしいのは、こうした事件によって西洋人が「気持ち悪い野蛮人としての日本人」という像を心に抱いてしまうことであり、日本人全体にとって迷惑な話でもある。このような事件を防ぐためにはどうしたいいのか、わたしにはわからないが、ごく一部に存在する、同じような面相のコンプレックス人間たちに言いたいのは、「どんな複合感情を心に抱こうがそれはしょうがないが、犯罪だけはやめてくれ!」ということだ。切にお願いしたい。(文=目黒条