アニエスの浜辺

芝居や映画や本について、面白かったからといってブログに感想文など書くと、「劇評」「映画評」「書評」などと言われてしまう場合があるので、ちょっと前に「もう感想文は書くまい」と決めたはずだった。(わたしは評論家ではないので評論なんかしないし、誰かの作品を論評する立場にもないように思うので。)しかし、ちょっと今日、試写会で拝見してあまりに胸がいっぱいになってしまったので、「アニエス・ヴァルダ監督『アニエスの浜辺』は素晴らしかったです」とだけメモしておきたくなりました。
わたしは今までに見た映画ベスト10の中には絶対『冬の旅』を入れたいというぐらいにアニエス・ヴァルダが好きなのだ! それだし、若い頃アテネ・フランセに通い詰めたような人間なので、このドキュメンタリーに出てくる人物のほぼ全員に興味しんしんで、なおかつフランス演劇も好きだからジャン・ヴィラールも尊敬してて、ジム・モリソンが出てくれば座席から飛び上がりそうになるほど過剰反応…など何もかもがツボにはまってしまった。そして何より、年齢を完全に超越したところで人間的魅力にあふれまくっているアニエス・ヴァルダが素晴らしいし、過去を昔話として語るのでなくセンスオブワンダーあふれる「映画」化して展開する、彼女のドキュメンタリーは、この上なく素晴らしいと思いました。
*9月19日追記:10月10日岩波ホールにて公開予定の『アニエスの浜辺』パンフレットに、拙文(感想文ですが、上記よりは詳しく、ちゃんと取り組んでいます)を寄稿させていただくことになりました。よろしければそちらもご参照くださいませ。(文=目黒条