日本語化英単語

「コンビーフ」はたぶん五十年以上前に流行した食品なんだと思います。かつては、牛の絵が描いてある缶が、「栄養豊富な肉の塊だ!」というありがたさと、ハイカラ?さを感じさせてくれたのでしょう。付属のキーみたいなものでグルグル開けていく…という過程もまた、「ありがたやありがたや」というプレシャスさを高めるための魔術的儀式という感じです。うちの親はいまだコンビーフ信仰を捨てられないらしくて、ときどき手土産にごっそり持ってきますが、わたしは内心(わたしはそんなものに幻想を持っていないし、あんまり食べないよ…)ととても困惑します。この人工感、ジャンク感…スパムミートの方がまだマシなような…。
ところでコンビーフは、なぜ「コンビーフ」という名前なのでしょう? 「コン」って何? 皆さんはご存知ですか? わたしは中学生のとき、ふと不思議に思って調べました。
conだから詐欺師とか囚人とかと何か関係があるのか…? いえいえ、これ「corned beef」なんです。つまり「塩漬けの牛肉」。
コーンド・ビーフがなまってコンビーフになったという、「ホワイト・シャート→ワイシャツ」パターンの言葉。和製英語じゃなくて、「日本語風に訛って日本語化した英語」とでもいうようなものです。(文=目黒条