簡単そうなものほど

英語で苦手なものシリーズのひとつに「動植物の名前」というのがある。英語で苦手というか、実は日本語でも同じことだったりして…単純に「自然科学に弱いだけ」と言う方が正確かもしれない!
英語に関して、昔は、ビッグワードを覚えるのが難しいんだと思っていたが、今思えば、一見難しく見える単語というのは意味が限定されているもので、かえって「覚えればいいだけ」であとは簡単だったりする。むしろ、一見簡単そうな単語ほど、隠れた用法を見落としがちで、難しいのだ。
数日前に「dragon」というのが竜だけではなく、トカゲの一種のこと(辞書によれば「トビトカゲ」)もさすのだ、と初めて知って、「あっ!」と叫んでしまった。二十年ぐらい前だろうか、もう誰と話してた時なのかも忘れてしまったが、外国人に英語で「田舎の野原でdragonに出会った。あれはlizardじゃなくて絶対dragonだった」と言われて、ジョークなのかと思って笑って対応してしまったことがあった! そんなに前のことをさかのぼって自らの不明を恥じてもしょうがないのだが…。あれは真面目に話していたのねー、と今更理解。このように、言語によって動物のカテゴライズの仕方自体がちょっと違ったりするので、注意だ。昆虫とかの名づけ方、くくり方もだいぶ違うように思うし。
昆虫→セミ と連想したら思い出した話をついでに書いておくと――普通名詞でも第二、第三の意味を知らないために誤解に陥ることがよくある。たとえば、前に実際にあった話をすると、日本人は、何かの音のことを「noise」と言われて「なんだと、雑音だと!」と妙に怒り出してしまったりするのだが、特に不愉快な音ということでなくても英語ではノイズと言うし、「主張」とか「注意を喚起する音」とかいう意味でも使うので、第一番目の意味しか知らなくて早とちりすると大失敗します。(文=目黒条