焦げ味

食べ物の表面にお砂糖がまぶしてあると、それは子供向けのおやつとなる。いっぽう大人は、料理の表面に焦げ目がついていたりすると、喜ぶ。(レストランだとガスバーナーでお肉の表面に焦げ目をつけたりする。和食だと「炙り」の魚とか?)「焦げ味」というのは、行き過ぎると嫌われるけれど、ほどよいと物凄く味覚を楽しませる、というのは今更言うまでもないこと。
で、焦げに関して、まずは極めて現実的・実用的な話をすると、焦げ味は食欲抑制に効くのでは?というのに最近ふと気づいた(――これは、わたし一人の思い込みもしれないけど)。おりしも、多くの人が、夏のダイエットに疲れ果てた末に秋の味覚の誘惑に敗北し、「どうやって痩せよう…またやり直しだ…」と悩み始める季節。「アンストッパブルな食欲に終止符を打ちたいなら、焼き野菜に限る!」などと無責任なことを言い放ってみましょうか?(ただし、焦げはガンのもとだとか言われているので、健康には悪いかも。)
健康に悪いということで言えば…キャラメル味ばやりの昨今だけど、砂糖を焦がしたものであるキャラメルソースをやたらと摂取して、ガン大丈夫なのだろうか?という話になる。(〜そういえばキャラメルっていうのに関して考えたら、子供も焦げ風味が好きなのだった! 砂糖と焦げの「善悪の彼岸」?…というか、焦げ・砂糖・油という不適切要素三位一体だ。だからこそ美味しいのか)
まあ、そういう事は置いておいて…
ここで一気に抽象的な話に移行すると、焦げというのは炭素だから、それは錬金術とかそういった怪しい化学を連想させる。
また、一度焼け焦げて終了してしまったかに見える、「過去の文化」(エコールというか流派)をも連想させる。
そうした焦げ目成分がうっすらと表面に乗っていると、芸術は妙味を感じさせるんだと思う。最近、そういうことを非常に意識し、常に考えている。――というのが、本来言いたかったことでした。(文=目黒条