ファミリー

今年はマンソン・ファミリー事件(シャロン・テート殺人事件)から40年だそう。スーザン・アトキンスなんていう半分忘れていた名前が、亡霊のように蘇ってきた。この話題は日本ではさほど盛り上がって?いない感じもするけれど、ヒッピーとかドラッグとか、そういう時代の大いなる反省を風化させてはいけないなあ、と改めて思った。ヒロポンの時代の悲惨がちゃんと語り継がれていないため、それを知らない世代が、ケミカルできめたりするのがトランス系のファッションの一部でおしゃれなことだと思いこんだりするのだ。(ケミカル系ではなく草吸系男子ならいいのかというと、わたしはそれも肯定はしていないのだけど、特に特にケミカルは愚の骨頂。)
スピリチュアルブームに乗って「前世」とかいう寝言を言っているぐらいだったら、みんなでほんのちょっと前のリアルな歴史を勉強して集合的にフラワームーブメントの「カルマ」でも解消した方が、社会を良くするのにはよっぽど効果的なのでは。…と壮大なことを言いつつ、わたしはたった今、紀伊国屋さんの五階でついつい『Unmasked --The Final Years of Michael Jackson』というゴシップ本を買ってしまった。自己批判しろ。(文=目黒条