レンタル品としての肉体

引きこもって働く日々の中、レンタルDVDのことなどすっかり忘れて放置していたら、ついに次のようなメールが来た。「…返却期限は設けておりませんが、一定期間以上貸し出しされております会員様へは、返却忘れの可能性もございます為お知らせさせて頂いております。」はい、ごめんなさい。さすがに怒られた。
で、DVDからどうしてそこまで飛躍するのかと自分でも思うけれど、「そういえば人間の肉体も宇宙からのレンタル品だなあ」と突然考えついた。わたしたちは自分の身体のことをなんとなく「自分」なんだと思ってるけど、しょせん肉体はいつか返却するもの(つまりいつか死ぬ)。明確な返却期限はないが、勝手に手荒な扱いをして壊すと、トラブルとなり(病気になったりとか)「お客様、壊しちゃったんだったらもう駄目です!」と強制的に宇宙に取り上げられることになる(つまり早く死ぬ)。だから、脳を含めたすべての肉体は、借り物の自覚をしっかり持ち大事に扱わなければいけないのだ。――「自分」という人は実はいない、という、わたしの妙な個人哲学。(文=目黒条