本がらみのお話

来年の手帳を確保したいので、ちょっと本屋さんまで行こう、ということになった。今日は本買う用ではない、と自分に言い聞かせながら到着。しかし、店頭でいきなり、レイモン・クノー『あなたまかせのお話』(塩塚秀一郎訳・国書刊行会)が平積みになっているのを見たら、もう駄目だ。そんな素晴らしい本、即買うに決まっています! 
一冊手に取ったら結局たがが外れ、「本は必要経費〜」という悪魔の囁きが耳元で聞こえてきて、他の本もあれこれ購入。多額の出費。そして結局、手帳を買うのをすっかり忘れて帰ってきてしまった。種村季弘さんのエッセイに、「坊主、風呂屋に行こう」とか言って子供連れ出すんだけど、お風呂はほとんど口実で、結局はメインテーマであるお寿司屋さんに行って、子供には玉子とか与えて自分は飲んでる――という下町のおじさんのことが書いてあったが、わたしの「手帳」はその「風呂屋」だったのねと思う。
しかし、クノーは楽しみ。入手して、にんまりしています。
ところで、外国人の友達が「日本に旅行に行くのであなたの本が買いたい。日本語を勉強しているので是非読んでみたい。こないだはバナナヨシモトに挑戦したし」とか言ってるのですが、うーん、わたしはどうしたらいいのでしょう? 買ってくださるというのに止める理由はないけれど、どう考えても学習好適本では、ないよ。彼はもう今日あたり日本に到着してしまったはずですが、この円高のおり日本に来るというだけでも胸が痛むので、せめて私の本ぐらいプレゼントしてあげた方がいいのか? それとも他の本を買うことを勧めるべきか? 悩んでいます。(文=目黒条