コンフォート・フード

少し前の話になるけれど、新聞(Jタイムズ)に「日本のcomfort foodであるラーメンが今NYCで人気」というようなことが書かれていたのを読み、へえ、ラーメンってコンフォートフードなのか、とびっくりした。comfort foodという言葉は「子供の時によく食べたので懐かしい・ちょっとカロリー過多だけど食べるとお腹も心も満たされる」というような感じで自分の中で定義されており、具体的には「サンデーとかそういう類の甘いもの」だというイメージが強かったが、ラーメンか! しかし、先の定義だけ見れば別にラーメンをここにあてはめても全然齟齬はないわけで、なるほどねと思ったのだった。
わたしはアルデンテな麺類は結構好きなのだけど、黄色い色をしたラーメンは比較的苦手で、白または透明な麺が好み。で、街中に増殖する、悪臭を放つラーメン店をなんとなく忌み嫌う傾向があった。でも、先日うちの近所にできたラーメン屋さんの横を通りながら「うん、ラーメンはコンフォードフードなんだよね」と思ったら、急に許せる気になったというか、温かく見守る気持ちになったというか、そういう自分を発見。言葉の定義の書き換えだけでこんなにも態度が変わってしまうのだから、やはりわたしはM山圭三郎先生のくびきからいまだ逃がれらない「唯言論」の人なんだなあとつくづく思った。唯脳論の方もいらっしゃるし、唯心論(唯幻論?これはイコールにしていいのだっけ?)の方もいらっしゃるけど、やっぱりわたしは唯言論。(文=目黒条