帰京しての総まとめ

 大阪から帰ってきた。この出張(と言うのか?)については、いかなる理由でか我が番頭からブログへの詳述を禁止されてしまったのだけれど、リナーンの舞台はドラマシティでも本当に素晴らしかったとだけ書いておこう。大阪のお客様は、他のどこよりも反応がヴィヴィッドで温かい気がする。人間味にあふれてるという点でアイルランドの人たちと近いのではないかと思う。とにかく大喝采スタンディングオベーションをいただき、大成功だった。そんな大阪公演も今日で終わり。最後の最後の回が今ごろ開演だなあと思いながらこれを書いている。
 天才・大竹しのぶさん、女神・白石加代子さんのお二人からは本当に多くのことを学ばせていただいた。学ぶというか、ただ感嘆して拝見していた。お二人とも、天才であるばかりか、ものすごく高い次元の何かとコンタクトをとりながら仕事をなさっている。のみならず、地上的なものとの関わりにも積極的で、表現者として多面的に凄いし、また女性として本当に魅力的で人にやさしい方だ。このような至高のレベルの女優さんたちの何百分の一でもいいので、わたしも表現者としての何かをつかみたいものだと思った。天からの受信のしかた、地上へのアースのしかた、実技構築と、感情のはためかせ方…
 男性楽屋チームの名演技も素晴らしかった。思えばいろいろあったけど、本当に皆さんお疲れ様、としみじみしてしまう。モーリーンのかなり性的にきわどい台詞をめぐって、長塚さんと大真面目に案を出し合い、他人が見たら「ジャンクメール?」ってなものをやり取りしてたのも、今となっては懐かしい思い出だ。あの頃は演出家が舞台でレイを演じるなんてこれっぽっちも思ってなかった…。
 大阪初日の夜、ごはん食べてからみんなでタクシーに分乗して帰ったとき、俳優ホテルとスタッフホテルが別なので、長塚さんと田中さんは彼らのホテルで先に降り、さいごS藤Kさんとわたしと二人になった。それで、二人とも自分たちのホテルへのナビがいまいちで、運転手さんに「○○ホテルやったら、あっちから行くべきだったのに」と思い切り駄目出しされていた。その舌鋒鋭い駄目出しをKさんが温厚に受け流すさまが、なんだかすごく恰好よかった。リナーン最後の「駄目出し」の思い出。(文=目黒条