東松照明「Tokyo曼荼羅」

 会期が終わる直前に慌てて滑り込み、写真美術館の「東松照明 Tokyo曼荼羅」展を見てきた。戦後日本の風景から、より抽象的なファインアート世界までが堪能できる、素晴らしい写真展だった。わたしたちはいつだって時間の中で呼吸して時間の中で描かなければならないんだ――そんなことを強く感じさせてくれた。そして、大きく背中を押してもらったような気持ちになった。
 写美を出たらまだ二時前で、(今からパルコ劇場まで駆けつければ昼公演に間に合うじゃない!無理を言ってどこかで見せてもらおうよ!予定外だけど、とにかく行ってしまえ!)という激しい衝動に襲われた。恵比寿から渋谷までたった一駅なんだから、そして何より、こんなに見たいと思ってるんだから、素直に走っていけばいいんだよ!と。…しかし、次の瞬間、自分の仕事の日割りノルマ枚数のことに思い至り、未練たっぷりだったけど諦めて帰宅。ああ大人。リナーン再見はまた後日にします。(文=目黒条