ランナウェイズ

チチチチチチチチェリーボム!と、子供の頃たぶん150回ぐらいは叫んだことがあるわたしとしては懐古のあまり胸がどきどきしてしまう、映画『ランナウェイズ』を試写で拝見。しかしわたしは、彼女たちのヒット当時まだブラもしておらず、「下着姿で歌うおねえさんバンド。大人〜」という視線で眺めていただけで、実はスリッツとかの方が同時代感はあるのですが、映画にも出てくるとおり、日本で異様な人気があったので(その後のチープトリックやジャパン同様の局地的なポピュラー性だったのか?)、まあ知っています。
この映画は、ありがちなロックスターのバイオグラフィーなぞり映画とは違って、ある時点以降ほとんど常に半トリップ状態といった感じの彼女たちの幻覚感を通して、半ば麻痺したような不思議な感覚でロックスターのクレイジーな日々を描いており、アート的なクオリティを感じました。ダコタ・ファニングクリステン・スチュワートはじめ、ラナウェイズ役の女優さんたちはみんな鋭く演じていて素晴らしかったのだけど、それ以上に印象的だったのは、ミュージック・プロデューサーのキム・フォーリー役のマイケル・シャノンの異様なるリアリティ。この人は凄い役者なのかも…!(文=目黒条