山海塾の『とばり』

山海塾『降りくるもののなかで――とばり』を世田谷パブリックシアターで拝見。「生と死」という山海塾の作品に通底するテーマが今回、宇宙に向かって直接開いているような……「聖なる方向のタナトス」を感じとれるような……本当に素晴らしい作品でした。終演後、天児(あまがつ)さんにすごく久しぶりにご挨拶して、なんだか胸がいっぱいになってしまいました。
山海塾で音楽を担当されてきた吉川洋一郎さんが書かれた『オピネルと孔雀の日』(幻冬舎ルネッサンス)という本をいただきました。サブタイトルが「山海塾初めてのワールドツアードキュメントストーリー」。山海塾がパリで活動を始めたばかりの頃のことが綴られています。開演前に読み始めたら、率直さと描写の面白さに、すっかり夢中に! 山海塾や舞踏に興味のある皆さん、是非読んでみてください。海外で評価されているアーティストというのは他にもいるのでしょうが、山海塾は「フランスのトップカンパニー」という特別な存在になっていて、こんな日本のアーティストって他にあまりいないのではないかと思います。その辺のところを、源流から検証しなおすのに貴重な本ではないでしょうか。特に若い人に読んでいただきたいと思います。(文=目黒条