polygamist ranch

 ついついabcニュースの映像に見入って時間を費やしてしまった。テキサス州エルドラドにあるfundamentalist church of latter-day saintsの「ザイオン・ランチ」という一夫多妻制のセクトで、16歳の少女が性的虐待を受けたとのことで、そこの子供たち全員?が行政に保護されて連れ出された。それに抗議し、「子供たちと引き離すなんて」と涙で訴える、相当いっちゃってる母親たちのインタビュー。服装が「大草原の小さな家」だし、髪型も昔っぽいシニョンだし、喋り方も変だし…教団内の生活のことを訊かれると急に目が宙を泳いで、ニターっと笑顔を浮かべるのも、いかにも洗脳されてますという感じで怖い。久々にこういう人たちを見たという感じで、たいへんに興味深かった。
 洗脳されてるのか、単に生まれた時からその教団にいる熱烈な信者ということなのか、どっち??という線引きは非常に難しいのでしょうけれど、「外の世界との交流を完全に断つ」とか「メンバーが外の世界の情報から遮断されている」というセクトは基本的に反社会的なのではないか、そこが見分けどころじゃないか、とわたしは個人的に思っている。
 カルト問題について考えると、「共同体とは何か?」というテーマに行き着く。それはわたしを捉えて離さない話題なのだけれど、長くなるから置くとして…。とにかく、ニュースに出てきた一夫多妻の「多妻」の部分の母親たちの、あの「わたしは穢れなきパッシブな女です」みたいな態度は、本当に珍しく面白い見世物に見えた。私が会うようなアメリカ人なんてみんな都市的でリベラルで自己主張の上手な文化人・業界人ばかりで、今までにああいう感じの喋り方をするアメリカ人に現実に出会ったことがないのだけど、ユタのみならず田舎に行けばああいう雰囲気の人はいくらでもいるのでしょう、たぶん。(文=目黒条