新年度なので

 日記のタイトルをシンプルにしてみた。今年度はどう見ても翻訳のオファーより自分の作品の方のオファーが増えてきた感じなので、「翻訳、文筆」という肩書きの並びが実情に合わなくなってきた――という理由でです。
 でも翻訳業をお休みするつもりはもちろんなく、これからもいいお話があればバリバリやっていきたいと思っています。翻訳に関しては、いろいろと考えることが多すぎて他の翻訳者の邦訳書がまったく読めなくなる病に罹患したりなど、紆余曲折があったのだけれど、今はもう「一回神経を焼ききった」というような境地に達し、ゆえに仙人のような境地で心静かにどんどん行けそうな感じなので。
 と言いながら、今は自分の小説の終盤戦にかかりきり。そんな中、先日『バートルビーと仲間たち』(エンリーケ・ビラ=マタス木村栄一訳/新潮社)という物凄く面白そうな本を買い、しかしそれは、読み始めてみたら「書けない症候群に陥った作家たち」の話という世にも恐ろしいストーリーだということが判明。あまりに験が悪いので?今作脱稿後までお預けにしてしまった。でもすごく読みたくてウズウズしている。(文=目黒条