処方箋

 過重なあれこれを抱えつつも、好きでやってるんだしオファーをいっぱいいただくのは嬉しいことなんだし、ゾンビ地蔵はちゃんと生きて頑張っています。
 このところ、知り合いや半知り合いの自由業者のブログなど覗くと「忙しい…本当に辛い…でも頑張る…」みたいなギリギリ感を出しているものが多く、これは集合的無意識というのか、はたまた、単に確定申告後の余波とか年度末とかの関係なのか??よくわからないけれど、偶然にも、皆さんかなりハードな状況を生きている模様。大きくみれば、チベット問題なども、現在のこういう沸騰する感覚と関係なくはないと思います。中国の態度を見てて思うのが、「自分のパラダイムに無理矢理持ち込もうとする」というのがいかに危険か、ということ。
 ちょっと飛躍しますが、あるひとつの問題に直面したとき、自分のパラダイムに無理に引き込んで、お得意の、お決まりのタームで処理しようとする人は多い。たとえば、精神分析の人はどんな話を聞いても「家族との関係」とか精神分析のタームで語るのがお約束だろうし、ポストモダンの人はポストモダン語で語り、政治家は政治語で語る。でも、そういう「テクニカルなパターンへの落とし込み」は何ひとつ解決になってない場合が多いです。唯一、芸術だけが「何も処理しようとしない」。最初から「処方箋なんてないんだよ」と言って、無理な処方箋を書こうと一切しないのが芸術。その立場がやっぱり一番好きだ。逆説めくけれど、それこそが本当の意味での問題解決なんだと思っている。(文=目黒条)