ミスター・ロンリー

 ハーモニー・コリン監督の『ミスターロンリー』!やられた!凄い!素晴らしい!『エンジェルズ・イン・アメリカ』を超える、ザッツ・アメリカという傑作がここに生まれた! アメリカのアイコン的な人々を安っぽーく真似る物まね芸人が集まるコミューン、という、物悲しくもグロテスクな設定の中に、「サクリファイス」「リデンプション」などのテーマを盛り込んだ映画。待ったぜハーモニー・コリン、あなたは素晴らしいよ!と絶叫したくなりました。感動。感動。感動。
 ルーザーたちを描いている点で、今までの作品と通底する感覚があるけれど、『ガンモ』とかよりもストーリー性がある。それが、かえってグロテスクさのヴォルテージを上げている感があり、これはもう是非シネマライズに走っていって見てほしいです。必ずしも日本人向けの映画ではないかもしれないけれど、リープ・イヤーとかスーパー・チューズデーとかいうさなかに、このような形で「アメリカ」を総括することには大変意義があるように思う。あと、クレジット見るまで気がつかなかったけど、ヘルツォークとかカラックスとか、出ていてびっくり。それと、わたしが個人的に知ってるリチャード・ストレンジも出ていて、懐かしさに涙。Do you still remember me? (文=目黒条