ゾディアック

 『ゾディアック』。題名に惹かれて「なんだかどうしても見なければ」と思って見に行った。もちろんデイヴィッド・フィンチャー監督だっていう理由もなくはなかった…が、私はこの監督は、大嫌いなわけではないけれどそんなに大好きでもない。ただ、このタイトルにただならぬご縁を感じたので――というのは、19日に発売される私の小説で、惑星とか星座とかの名を、わずかとはいえ使っているから「zodiac」にお礼参りだ、という気になって。でも、見てみたら、星座や占星術とはほとんど関係なかったです(もうひとつ念のため、わたしの作品もほとんど星座とは関係ないです)。
 しかし、内容にさほど期待していなかった割には『ゾディアック』、この監督の映画の中では一番大人で、一番良かったかもしれない。別にショッキングなシリアルキラーものでも、犯人当てものでもない、というところがいい。また、実際の事件再現ものという以上に、レトロ感も含めた独特のアトモスフィアもあり。
 それから、驚いたのは、独立記念日の花火の場面から映画が始まったということ! なんというシンクロニシティ。もちろん、そんな冒頭だなんて全然知らずに観に行ったので、今日7月4日に偶然この作品に出会ったことには何か意味があるのかもしれない、などと思ってしまった。(文=目黒条