火星年代記

 父が貸してくれるというので『火星年代記 メモリアル・エディション』を借りてきた。これは、81年のテレビドラマ『火星年代記』のDVD全三本と、絶版になっていた早川書房のSFシリーズ同名翻訳本の復刻版(巻末の1963年当時の広告もそのまま再現されていて楽しい。父の訳です)がセットになってケースに入ってるもの。http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000BFLABC/qid=1136353471/sr=8-1/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-4677802-1593855 よっぽどのレイ・ブラッドベリのマニアでなければこれを買わないだろう、というようなものだけれど、DVDの第一章だけ見てみたら、SFオタクじゃないわたしでもなかなか楽しめた。ロック・ハドソンとかが出ていて、どこか懐かしい雰囲気。低予算ありあり。最初の三十分はあまりのチープさに「これを見続けるのはきついかも」という危惧を抱いたけれども、時間の経過とともに徐々に面白くなっていった。一巻だけ見る限り、映像では「火星という新大陸奪取の闘争」というモロに植民地主義的な話が前面に押し出されていて、これをアメリカ人にやられると洒落にならん、という感じだった。2006年現在世界的に大問題になっている移民の問題の隠喩…じゃなくて完全に直喩だな。いろいろ考えさせられる。また、それだけでなく、SFの古典の牧歌性やロマンチシズムが味わえるという楽しさもある。全部見てみないとまだわかりませんが、中間報告でした。(文=目黒条