予言?

 今書いている小説の冒頭あたりで、本筋と関係ないところでちょこっとチベットのことを書いた。そうしたらチベット問題がこんな形で噴出してしまった。単なる小さな偶然だと普通は言うのだろうけれど、わたしの場合、『カルト…』の最後の方で「羊水」などと書いたら、ちょうど発刊頃のタイミングで女性ヴォーカリスト羊水発言が話題となったり、また『世界人類』を書いてる途中では、ちょうど作中子供を殺したところで秋田の鈴香の事件が起こったり、また、世界書き終えたら「冥王星は惑星じゃない」と発表になったり…等々、因縁というと大袈裟なのだけど、作品に書いた内容に近似の何かが必ず起こります(ここには書けないようなもっと個人的なことで、作中の予言どおりになってしまった実績多数)。
 もちろん、書いているときは予言のつもりなど全くないので、後から「それだったらもっと良いことを書いておけばよかった…」と思ったりする。でも、そうやって逆から考えて生ぬるいことしか書かなくなると、それは作品として駄目だって気がするし…複雑な気分。基本的にわたしは「ラジオ」っぽい感じに徹して、受信した素材をただ流す、という「運を天に任せ」タイプの仕事をするのが得意だから、加工の意図を過度に働かせない方がいいような気がするし。
 そういえば、小学生の時にわたしが初めて書いた小説(?ノートに書いた長編…)は、豪華客船に変な老婆が一人乗っていて「この船は沈没する!」という予言を叫びまくるのだが誰も相手にせず、しかししばらくすると本当に船は沈没してしまう…という『タイタニック』のできそこないのような話でした。(文=目黒条