mother’s

石内都の写真展「mother's」を東京都写真美術館で見た。きのうはご本人の講演会もあったらしいのだが、全然知らずに違う時間帯に、ご近所散歩感覚でぷらぷら行ってしまった。入り口で「都民の日なので入場無料です」と言われ、それも知らなかったので一瞬ぎょっとする。(ありがたいことだけど、I原S太郎におごってもらったと思うと厭な気分だ。)亡くなったお母さんの遺品を撮影した作品群は、決してセンチメンタリズムに流れず、マテリアルそのものに肉薄していて素晴らしかった。一人の女性が身にまとってきた物質が、「もぬけのから」になった時に、失われた時間とスピリチュアルなものの間をたゆたう眼に見えない何かを撮影しようという試み。(文=目黒条