杉本博司「時間の終わり」

 いきなり新年から昨日の話―つまりは先月の話であり、去年の話でもある―で恐縮だけど、大晦日、ようやく森美術館杉本博司「時間の終わり」展に行ってきた。うわっ、凄い!という身震いを何度か感じた。これは大昔にパリのポンピドゥーセンターで見たヴァルター・ベンヤミン展以来の衝撃だ。あんまり大衆性はないけど(そうだろうと思ってハンゾー連れを控えてきた)、ある種の壮大なストーリー性や批判性があって、ファインアートが好きな人なら絶対ワクワクすると思う。今まで見逃してきた人はとにかく見に行ってみてください。1月9日までやってるそうだし、元日も休まず開館しているらしいので。年始に神社仏閣ではなく六本木ヒルズに詣でて、時間の終わりだの終焉の終焉だのについて思いを馳せるというのもなかなか都市っぽくて粋だと思う。(文=目黒条