もう芸術でないものは見ない

案内状をいただいていた谷口広樹さんの個展「融通無碍」に、クローズ直前に駆けつけた。変成意識の窓とも言えるような作品群に、ロゴスを突き抜けた別の次元を見せていただきました。自分の仕事からエスケープして出て行って、大正解。大収穫、大霊感。
実を言うと、そのあと、新橋から川崎に移動して、あの悪名高い「人体の不思議」展に行こうかと今朝は思っていた。これはもちろん展覧会ではなく、医学的展示ですらなく、エンターテインメントとして死体を晒す見世物興行と言うべきであろうものなので(アメリカで大きな問題になっていたのをabcか何かで見た。中国死体売りビジネスと関係ある疑惑が指摘されていた)実は見たくもなかったのだが、ネクロ関係の題材にするために「取材」しておくべきかという気持ちがあり…。
でも谷口さんの個展を拝見したら、今日のせっかくのアート体験をそんなもので台無しにしたくない、そんなものにチケット代を払って儲けさせるのは馬鹿げている、と強く思い、やめました。やめてよかった。(文=目黒条